慢性疼痛の幹細胞治療について

• そもそも「慢性疼痛」とは？

  慢性疼痛は、通常の治療法や自然治癒力によって治癒しない継続的な痛みのことを指します。痛みが3か月以上続き、既存の治療で痛みが軽減しない場合、慢性疼痛と診断されます。
  慢性疼痛は、身体的な疾患や損傷によって引き起こされる場合がありますが、原因不明の場合もあります。また、急性疼痛が適切に治療されずに慢性化する場合もあります。慢性疼痛は、患者の生活の質を低下させ、日常生活や社会生活に支障を与えることがあります。

  

• 再生医療は慢性疼痛に対して有望？

  慢性疼痛の治療において、再生医療は注目を集めています。再生医療では、幹細胞や細胞成長因子、細胞外マトリックスなどを用いて、損傷した組織や器官を修復することができます。
  具体的には、幹細胞や成長因子を注入して、神経細胞や組織の再生を促す方法があります。また、細胞外マトリックスを利用した組織工学によって、損傷した組織や器官を修復する方法もあります。
  特に、脂肪由来幹細胞を用いた治療は、慢性疼痛に対して有望であるとされています。これらの幹細胞には、痛みを引き起こす炎症を抑制する作用があり、また、損傷した神経細胞や組織を再生することができます。

  

• 治療の内容

  間葉系幹細胞は、骨髄内に存在し、多様な細胞に分化できる能力を持っています。自己骨髄由来間葉系幹細胞を点滴静脈注射することで、傷ついた組織を修復する働きがあり、神経栄養因子や血管新生作用、神経再生作用が治療メカニズムとして考えられています。また、皮下脂肪にも同じ種類の幹細胞が存在し、脂肪をもとにした治療法もあります。ただし、すべての患者に同じ効果が出るとは限らず、治療に入る前には医師と相談する必要があります。