手術の特徴と主な手術方法
本邦では従来から脊椎・脊髄疾患は整形外科が扱う病気とされてきました。
一方欧米では脊椎・脊髄疾患は神経外科医が扱う病気とされ、神経外科手術の半数を脊椎・脊髄の手術が占めています。
楽界の帝王と呼ばれた指揮者、故ヘルベルト・フォン・カラヤンが腰椎の椎間板ヘルニアを患った時、ドイツの神経外科医マハジッド・サミィ博士が手術を行われました。
脊椎・脊髄手術の主要な目的は、痺れ、痛みや麻痺の原因となっている神経の圧迫を取り除くことにあり、脳・脊髄・神経を扱い慣れている、神経外科医がこれに熱心に取り組むことは当然のことです。
我々脳神経外科医はほとんど全ての手術を手術用顕微鏡や内視鏡を用いたマイクロサージャリーで行っています。
病変部を大きく拡大した明るい術野で、神経を直視しながら緻密な器械を用いて手術を行います。
- 神経を直視しながら手術を行うので神経を損傷して、合併症を起こすことがありません。
- 当然、手術創は小さく、大きな手術痕を残しません。
- 脊椎の支持組織である筋肉、靭帯をできる限り温存し、骨の切除も最小限度に留めますから、術後の痛みが軽く、翌朝には歩行が可能です。
- 従って入院期間は3~10日間と短期間になり、早期に社会復帰が可能です。
主な治療法
- 理学療法全般
- 顕微鏡を用いた微小手術(拡大した視野で安全確実な手術が可能になります)
主な手術方法
脊椎(腰椎、頚椎)手術
脊椎・脊椎センターでは、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、頚椎症などの脊椎手術に対してもより低侵襲で安全に手術を行う目的で顕微鏡下あるいは内視鏡下に行っております。拡大された明るい術野で手術を行いますのできわめて安全で効果も確実な方法となります。
椎体形成術
脊椎、脊髄センターでは、腰椎圧迫骨折に対して局所麻酔下に骨セメントを注入することにより痛みを取り除き、手術2時間後から離床を図る治療法を行っています。新規導入したバイブレーン透視装置を用いることにより安全に行えます。
各疾患についての手術説明
頚椎症
前方固定術: 頚椎症に対して前方固定術を行っています。いわゆる前方アプローチです。通常、1~2椎間の病変に対して行います。特に神経根症状(上肢の痺れ、巧緻運動障害など)の強い症例に対して行います。術後翌日から歩行も可能です。術後約4週間ネックカラー(フィラデルフィア型)を、その後ソフトカラーを約4週間していただきます。術後4週目の頚椎X-Pで確認後ソフトカラーに変更して退院となります。ですから入院期間は、基本的に約4週間です。
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頚椎症
椎弓形成術: 頚椎疾患で多椎間に及ぶような疾患に対して行います。単純に言えば、脊髄の通っている空間を拡げてあげるようなものです。そして、脊髄の後ろに余裕を作ってあげることにより脊髄の圧迫を取ってあげようということです。手術翌日から歩行も可能となります。術後約4週間ソフトカラーをしていただきますが、入院期間は基本的に約2週間です。
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圧迫骨折に対する椎体形成術
椎体形成術の概要
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