消化器外科

・消化器内科をはじめとする他科との十分な連携のもと、各患者様にとって最適な治療を行うことを目指します。
・手術手技の向上に努め、最新の知見をもとに患者様にとっての最善の治療法を追求します。
外科は、主に手術という手段を用いて患者さんの治療を行う科です。そのうち、私たち消化器外科では、口からお尻まで続く消化管のほか、肝臓や胆のう・膵臓といった消化に係る臓器の疾患を扱っています。具体的には、胃がん・大腸がん・肝臓がん・膵がんなどの悪性疾患や、腸閉塞・虫垂炎(いわゆる モーチョー)、胆のう結石症・胆嚢炎、痔などの肛門疾患を対象としています。また、一般外科領域のヘルニア(脱腸)手術も多数手がけています。
何年か以前であれば手術以外に治療法が無いと思われていた疾患でも、検査や薬の進歩などにより、切らなくても治せるようになっているものがあります。
例えば、何十年か前まではひどい胃潰瘍、特に穴が空いたり引き攣れて食べ物が通りにくくなってしまったようなものは、手術するしか無いと考えられていましたが、最近では抗生物質を使いながら様子をみたり、内視鏡を用いて拡張したりと、ほとんど消化器内科で治してくれるようになっています。そもそも強力な制酸剤の出現で、そこまで悪くなる前に治して貰っている事が殆どという状況です。
右下腹が痛むとき、まず疑うのは虫垂炎ですが、これも以前は“見つかれば手術”という方針のところも多かったのが、近年は抗生剤で結構治ってくれることが知られ、手術にまわることは随分少なくなりました。
がんは大変怖い疾患として知られていますが、特に進行した場合治療が難しくなります。切除しなければ治らない、切除しても治らない、切除できない・・いろいろなステージ(進行度)の患者さんがおられますが、手術以外の治療法(放射線や薬剤など)の進歩で選択肢が増えています。近年は、個々の患者さんでそのがんが発生している原因の遺伝子を調べ、治療に適した薬剤を見つけて投与することで、とても高い治療効果が期待できるような技術が進んできています。
— 切らずに済むなら、手術なんて受けたくない! — 当たり前の感情だと思います。もはや外科は“過去の遺物”・“野蛮な治療”と言われる日が来るのも、そう遠くはないのかもしれない・・・ とか想像してしまうこともあります。しかしながら、現実には私たち外科医の忙しい日々はまだまだ続いています。
救急車で運ばれてきた患者さんは痛みで体を丸めて苦しんでいる。調べると虫垂炎で穴が開いてひどい腹膜炎になっているようだ。急いで麻酔科・手術室スタッフを確保して緊急手術。炎症で破れた虫垂を切除してしっかりおなかの中を洗って・・・数日で元気に退院! 手術でなければ対処できない疾患は当分消えそうにはありません。新たな治療法、パラダイムシフトが期待される がん の領域でも、現在のところ、がんの場所や広がり具合、症状の有無などに応じて “手術が第一選択” という状況は決して珍しくありません。
「できれば手術なんて受けたくない」 という気持ちを踏まえたうえで、私たちは培ってきた知識と技術をもって、その患者さんにとってどの治療法が最適なのかを判断して、診療にあたることをお約束します。
コロナ禍を挟んで、当科では厳しい人手不足が続いていましたが、大阪大学消化器外科医局の人事で、ようやく各疾患別のチーフを揃える事が出来ました。病院の設備も今回の統合・移転で大きくグレードアップし、飛躍への準備は整いつつあります。
新病院の特色を生かして地域のご施設の方々と連携を図り、旧阪和記念病院・阪和住吉総合病院からの伝統である、地域に根差した病院として、より良い医療をめざします。
医師紹介
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副院長田中 伸生昭和62年卒
専門分野、学会活動等
日本外科学会専門医、日本消化器外科学会認定医、近畿外科学会評議員、がん医療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了、日本内視鏡外科学会技術認定取得者(大腸)
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主任部長菅 和臣昭和60年卒
専門分野、学会活動等
日本外科学会専門医、日本消化器外科学会認定医、日本医師会認定産業医、近畿外科学会評議員
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部長濱田 栄作平成2年卒
専門分野、学会活動等
日本外科学会専門医、がん医療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
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部長新井 勲平成5年卒
専門分野、学会活動等
日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・消化器がん外科治療認定医、がん医療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了、日本静脈経腸栄養学会TNT研修会修了
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副部長畠野 尚典平成14年卒
専門分野、学会活動等
日本外科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、近畿外科学会評議員、がん医療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
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医員村西 耕太朗平成21年卒