脊椎疾患の術前・術後リハビリについて
術前
術前評価は状態の把握と術後の訓練プランを立てる意味で非常に重要です。
頚椎項目
- 手の機能(自分で箸が使える、書字に関して、ワイシャツのボタンかけなど)
- 足の機能(立てる、歩ける、階段上れるなど)
- 膀胱機能(おしっこが出にくい、失禁する、頻尿など)
- 手の筋力
- 手、身体、足の感覚、しびれの状態
- 腱反射(一般には脚気の検査と思われているもの)
腰椎項目
- 腰痛(常にあるか?時々軽いのがあるか?)
- 下肢痛(常にあるか?時々軽いのがあるか?)
- 歩行能力(正常?500以上歩ける?何故歩けない?など)
- 日常生活動作状況(寝返り、洗顔、中腰姿勢、重量物の挙上など)
- 膀胱機能(おしっこが出にくい、失禁する、頻尿など)
- 足の筋力
- 足の感覚、しびれなど
- 寝た状態での片足の挙上角度
- 腱反射
- 歩容(歩き方をみて、弱い筋肉や働いていない筋肉、動きの悪い関節を評価します)
- 姿勢(ほとんどの方が歪んでます)
- 健康関連QOL問診票(今の症状がどの程度生活を制限しているかの問診票)
術後
術後は手術翌日から開始します。
まずは、術前に気になった症状がどの程度改善しているかを確認します。
その後はその患者様各人の症状に合わせて訓練プランを設定します。

- 筋力の回復を中心にする人は筋力強化訓練
- 感覚の回復を中心にする人は運動感覚の再獲得訓練
- 痛みの患者様には痛みの原因に対する訓練
- 歩行障害が中心の方で筋力にあまり問題の無い方なら歩行訓練や階段昇降訓練
問題点は多くの場合、患者様自身が解っておられますので、それに対応していきます。
また退院後の自主訓練ができるように指導も併せて行っています。
ただし、当院の患者様で一番多いのが術後に術前の姿勢が改善し、姿勢が良くなったり歩行状態が改善しても、その環境(姿勢)で今まで動けていないため、身体が慣れない動作と誤認し筋肉痛を起こすケースです。そのため術後には術前の痛みとは全く違う性質の痛みが出現しますが、多くの場合、2~3週間で改善します。
私達はその痛みの期間を少しでも短くし、変な“動き癖”を減少できるように頑張っています。
その後、退院時に術前に行った評価と全く同じ項目を確認します。
体育会の大学生のスポーツ復帰、重労働の職場復帰など社会生活での相談はその都度担当の療法士と患
者様で検討・助言し、部門内でその事象に詳しいスタッフが直接話したりと臨機応変に対応しています。