手・肘・末梢神経外科センター
手をうまく使えないと、日常生活動作(ADL)に大きく影響します。買い物や掃除、洗濯、料理といった生活のための手段的日常生活動作(IADL)だけでなく、パソコンや書字などの知的活動、楽器やスポーツなどの文化的活動においても手は重要な役割を担っています。
手の機能障害をきたす疾患や外傷には様々なものがあります。疾患としては、生まれつきの病気(先天異常)や仕事やスポーツでのオーバーユース、リウマチによる障害、手根管症候群など絞扼性神経障害、中高年女性によくみられる腱鞘炎、高齢者に多い変形性関節症などが挙げられます。外傷としては、骨折や靭帯損傷、腱や神経、血管の損傷などがあります。仕事やスポーツに伴うものが少なくなく、いずれも早期復帰のためには適切な治療が必要です。
すべての疾患・外傷に対して有効な治療法が存在するわけではありません。手術だけが唯一の治療ではなく、手術以外の治療(保存療法)が有効なこともあります。また、手術を行った場合でも、術後のリハビリテーションが治療結果を大きく左右します。 こうした手・肘・末梢神経の疾患や外傷を総合的な視野で取り扱うことのできる専門医の数は限られており、日本手外科学会が認定する専門医の数は日本全国で1,000名あまりに過ぎません。当院には30年以上の経験を有する専門医が在籍して手・肘・末梢神経疾患の治療にあたっています。小児科がないため10歳以下の小児に対する手術はできませんが、それ以外のほとんどの手の疾患や外傷に対応することができます。ぜひ、気軽に受診して下さい。
手・肘・末梢神経外科センター長 日高 典昭
治療対象となる主な疾患
外傷
橈骨遠位端骨折、指節骨・中手骨骨折/脱臼、舟状骨骨折/偽関節、肘関節周辺骨折/脱臼、手指・肘関節靭帯損傷、屈筋腱・伸筋腱損傷、正中・尺骨・橈骨神経損傷、指神経損傷、TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷、マレット指など
疾患
変形性関節症(母指CM関節症、へバーデン結節、ブシャール結節)、腱鞘炎(ばね指、ドケルバン病)、リウマチによる腱断裂/手指変形、絞扼性神経障害(手根管症候群、肘部管症候群)、前骨間神経・後骨間神経麻痺、種々の神経麻痺に対する機能再建、野球肘などスポーツ障害、デュピュイトラン拘縮、キーンベック病、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、手・肘の先天異常(10歳以降での後遺障害)、手の腫瘍、ガングリオン、ミューカスシストなど